許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

委員会から推薦された医師から往診された

曖昧表現が多くなっており、その一つである受動態も氾濫しています。「委員会が推薦した医師が往診した」を患者を主体に表現するなら「委員会が推薦した医師に往診してもらった」「委員会が推薦した医師の往診を受けた」が自然ですが、受動態で表すことが増…

ですので

接続詞「ですから」は接続詞「だから」の叮嚀形です。いっぽう「ですので」は、助動詞「です」の連体形に接続助詞「ので」がついたものです。 助動詞「です」については、本来体言につくものであるところが「美しいです」のように形容詞の終止形に付く用法が…

相談は社員が対応します

「社員が相談に対応します」という文では、主語は「社員が」、述語は「対応します」、修飾語が「相談に」です。 さて、修飾語に強調の係助詞「は」が付き、さらに前置された場合に、「相談は社員が対応します」と格助詞「に」が省かれることが通用となってい…

問合せ窓口を常時開設しています

辞書にはまだ採用されていないものの意味が変化して広く使われる言葉は、扱いに困ります。 「問合せ窓口を開設しました」であれば、この「開設」は従来の「あらたに開き設けること」(広辞苑第二版補訂版)です。が、「問合せ窓口を常時開設しています」だと…

第一商事株式会社御中 高橋洋子様

「御中」は「個人あてでない郵便物を出す時、そのあて名の下に添える語」(広辞苑第二版補訂版)であり、宛先の団体に所属する人なら誰でもよいので読んで処理をしてほしい場合に使う脇付です。しかし昨今では、「第一商事株式会社御中 高橋洋子様」といった…

解決を図るため対策をとった

役人と学者が日本語を乱すとの説があります。閉鎖的な世界で使用している言葉をマスコミなどを通じて全国に広めるからというのです。 「図るため」もそんな言葉の一つかもしれません。「図る」はそれだけで企てるなどの意味がありますから、「解決を図るため…

1年前に較べ進化した

【進化】1 生物が次第に異種のものに変化し、さらにもとの種との差異を増大して異属・異目などを生じていくこと。<後略>/【進歩】<前略>2 物事の漸次に発達すること。物事が次第によい方、また望ましい方に進み行くこと。(広辞苑第二版補訂版) 進化と…

ある意味

平板アクセントであってもなくても、「ある意味」は新しい言葉です。 しかし、従来の「ある意味で」から「で」をとった「ある意味」は瞬く間に広く使用されるようになり、今や中高年の口からも聞かれます。 こうした広汎な層が話す新語は、文章語として使っ…

悪徳業者の方

以前TVの街頭インタビューで悪徳業者の不正に眉を顰める市民が「悪徳業者の方」というのを聞き、笑い話として話したところ、相手はとりたてておかしいとは感じないようでした。 敬語は敬う気持を表す言葉ですから、根底に尊敬の念があることを前提とします。…

ここではきものを、おぬぎください

読点の役割は、第一に、誤って読解するのを避けることにあります。「ここではきものをおぬぎください」では着物を脱ぐのか履物を脱ぐのかわからないため、「ここで、はきものをおぬぎください」若しくは「ここでは、きものをおぬぎください」と読点を打つの…

明るみになる

「明るみに出る」の「明るみ」は、形容詞「明るい」の語幹に場所等を表す接尾語「み」が付いて名詞化したもので、「明るい場所」という意味です。 「事態が明るみになりました」は「事態が明るい場所になりました」であり、意味が通りません。「明るい場所に…

よろしくお願いしたいと思います

敬語の乱れとして「千円からお預かりします」「御注文のほうはこれでよろしかったでしょうか」などがよく挙げられます。こうした「敬語」が使われる背景に、摩擦を恐れ曖昧表現を選択することがあるともいわれています。 曖昧表現は、「みたいな」「感じ」と…

7時〜9時までは全面禁煙です

「〜」は本来、算術記号のディファレンスであり、「○から×まで」という意味はありません。しかし現在では、箇条書きなどで「−」の代りに「○から×まで」の意味で使用されることがすっかり定着しています。 さらに最近めだつのが、「〜」を「から/まで」でな…

ゴールが勝利をもたらせた

学校で国文法を教わったことのない人が存外に多いようです。英語文法や文語文法は習っても、口語文法の授業があった記憶はない。いわゆる学校文法には問題も多々指摘されており、かといって万人の認める口語文法は今のところ存在しないため、教えるべき国文…

ハンカチ世代

今春早稲田大学に入学した斎藤佑樹投手と同学年の野球選手を「ハンカチ世代」と称するのがマスコミの通例となっています。このような「世代」の用法の嚆矢は、今季ボストンレッドソックスに移籍した松坂大輔投手が高校生のころの「松坂世代」でしょうか。松…

通行人を切りつける

「男が通行人を切りつけました」。 TVニュースでも新聞や雑誌でも、「切りつける」の助詞は「を」が優勢になったようです。 たしかに、「を」も「に」も動作の目的を示す格助詞ですし、「侍が狼藉者( )斬る」であれば「を」を使うところです。しかし、「切…

「日本語本」は書籍の一ジャンルとして定着した観があります。TVでも、日本語がテーマのクイズ番組などが放送されています。これは、いわゆる「正しい日本語」から外れた日本語が広範に使われていることが気になる人が多いからなのか、それとも、「日本語が…