許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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慣用語

騎虎の勢いの如く突き進め

先週の週ベは阪神タイガース特集。特集タイトルは「騎虎の勢いの如く突き進め」でした。 まず、「騎虎の勢い」の意味。 「《「隋書」独孤皇后伝から》虎に乗った者は途中で降りると虎に食われてしまうので降りられないように、やりかけた物事を、行きがかり…

敷居が高い/ハードルが高い

「敷居が高い 不義理や面目のないことがあって、その人の家へ行きにくい。 [補説]文化庁が発表した平成20年度『国語に関する世論調査』では、『あそこは敷居が高い』を、本来の意味である『相手に不義理などをしてしまい、行きにくい』で使う人が42.1パーセ…

存亡の危機

情報化社会でいわゆる「日本語の乱れ」に対する関心も広まり、いわば「ポピュラーな誤用」がwebなどですぐみつかります。 「気が置けない」「敷居が高い」「情けは人のためならず」「名前負け」「役不足」などの意味を誤って用いる誤用のほか、「押しも押さ…

ダントツの最下位

俗語ではあるものの、「ダントツ(断トツ、だんトツとも表記)」はごくふつうに使われることばです。長年使われてきたため古くさい印象すらあります。 長年のあいだに語源が忘れられてしまったのか、近年では誤用もめだちます。「ダントツの最下位」などです…

的を得る/当を得る

*2015年5月17日に全面改稿しました。 「得る」は日本語では「1 自分の手に入れる。2 (補助動詞的に用いて)できる。可能である。3 取り用いる。4 得意とする。5 理解する」(新潮国語辞典新装改訂版)です。 「的」は「1 弓・鉄砲などの練習の際に目標とし…

一角を担う

一生懸命、独壇場といったすでに許容された誤用や、青田刈り、汚名挽回といった広く使われる誤用は数々あります。これらを指摘する書籍やTV番組なども多く、日本語の誤用にいくらかでも興味がある人には「常識」のように知られています。 もちろんそれだけが…

激を飛ばす/喝を入れる

「監督が選手に激を飛ばした」はまず、「激」の字が誤りです。正しくは「檄」で、常用漢字表に採用されていないのでカナ書きにすることもあります。 この「檄」は「召集の文書」または「敵の非をあげ自分の徳を述べて大衆に論告する文書。ふれぶみ」(新潮国…

雪辱を晴らす

「雪辱を晴らす」は、誤った日本語として「汚名挽回」などと並んでよく挙げられます。「汚名挽回」を見かけることは減りましたが、「雪辱を晴らす」はとくにTVでまだまだ聞かれるようです。 「雪辱」は「辱めを雪ぐ」ことですから、動詞では「する」を付けて…

明るみになる

「明るみに出る」の「明るみ」は、形容詞「明るい」の語幹に場所等を表す接尾語「み」が付いて名詞化したもので、「明るい場所」という意味です。 「事態が明るみになりました」は「事態が明るい場所になりました」であり、意味が通りません。「明るい場所に…