許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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ハンカチ世代

今春早稲田大学に入学した斎藤佑樹投手と同学年の野球選手を「ハンカチ世代」と称するのがマスコミの通例となっています。このような「世代」の用法の嚆矢は、今季ボストンレッドソックスに移籍した松坂大輔投手が高校生のころの「松坂世代」でしょうか。松坂投手のプロデビューが1999年ですから、すでに10年近く使われていることになります。
従来の日本語では「世代」とは、「2 イ ほぼ三〇年間を一くぎりとした年齢層。ロ 親・子・孫と続いてゆくおのおのの代」(広辞苑第二版補訂版)で、英語の‘generation’に相当します。新しい用法の「第三世代携帯電話」なども、本来の「1 生物が母体を離れてから成熟して生殖機能を終るまで」(同)から懸け離れた意味ではありません。同じデジタル方式であっても第二世代の携帯電話とは規格が異なりますから、違う‘generation’と認識されるのです。
しかし、たとえば1980年4月2日から1981年4月1日のあいだに生まれた人と1981年4月2日から1982年4月1日のあいだに生まれた人に、集団として特徴的な相違はあるでしょうか。誕生日が1981年4月1日と2日ではたった1日の違いです。集団としてよりも個人差のほうがずっと大きいと思われます。「ハンカチ世代」「松坂世代」の「世代」には、伝統的な「世代」の意味は薄いようです。
「同学年の総称」としての「世代」はまだ辞書には採用されていませんが、マスコミを中心に広く用いられています。こちらの用法が優勢になると、「『団塊の世代』って昭和何年生まれのことですか?」などと尋ねられることになるのでしょうか。