許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

通行人を切りつける

「男が通行人を切りつけました」。
TVニュースでも新聞や雑誌でも、「切りつける」の助詞は「を」が優勢になったようです。
たしかに、「を」も「に」も動作の目的を示す格助詞ですし、「侍が狼藉者( )斬る」であれば「を」を使うところです。しかし、「切る」に「つける」がつけば、帰着点を示す「に」を用いるべきでしょう。
「切りつける」の「つける」は、「3 ある物を他の物のところまで及びつかせる。1 届かせる。行きつかせる。及ぼす。到着させる」(広辞苑第二版補訂版)を意味します。「到着させる」からには帰着点が必要です。「男が通行人( )切りつけました」の場合、帰着点を示す「通行人」につく助詞は「に」になります。
これは「男がナイフを通行人( )突きつけました」でも同じです。「突きつける」の帰着点を示す「通行人」につく助詞は「に」ですね。「男がナイフを通行人『を』突きつけました」とはいいません。


「てにをは」は、軽視されがちですが、日本語の重要な要素です。おろそかにせず、文の意味を考えて用いましょう。



*2013年6月29日に全面改稿しました。