許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

年/歳(とし)

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

 

さて、「としあけ」は漢字でどう書くでしょうか。

年(とし)が改まったことを表すから「年明け」、が一般的です。

そして、「とし」の漢字表記については、下記の使い分けが一般的になりつつあると感じます。

1月1日から12月31日まで(グレゴリオ暦の場合)の1年、つまり暦年を表すときは「年」。

年齢を示すため、誕生日から翌年の誕生日の前日まで(満年齢の場合。なお、法律上は「誕生日まで」ではありません)の1年を表すときは「歳」。

とはいえ、漢和辞典で「年」と「歳」を調べてみると、そうした使い分けは昔からのものではないようです。

「【年】一 トシ イ 一年 ロ 年齢。よわい〈後略〉」(三省堂漢和辞典第二版)

「【歳】一 トシ イ 一年 ロ 年齢〈後略〉」(同)

たとえば、「歳末」は暦年の末のことですし、「数え年」は元日に一つ年齢を加える数え方です。

 

「とし」の漢字表記を、暦年のときは「年」/年齢のときは「歳」と使い分けること自体は問題ありません。ただし、どちらも「年」と書くのが誤りではないことは理解しておきましょう。

また、「漢字表記は常用漢字表に基づく」とのルールがある状況で文章を書くときには、「歳」の訓は「サイ」「セイ」しか認められていないので、「とし」の漢字表記は「年」とします。

 

漢字の使い分けは、文意を正しく伝えるための手段の一つです。

確かな根拠をもち、一貫して使い分けましょう。