許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

表現

無安打無得点/無安打無失点(ノーヒットノーラン)

野球用語のクイズで、四死球や失策で出塁を許してしまってもノーヒットノーランは記録されるか、との設問があったりします。 答はイエス。 「ラン」は走者でなく得点のことであり、ヒットを打たれずかつ点を与えなければ、フォアボール等で何人ランナーを出…

体たらくぶり、体たらくな

昨今、TVや新聞などで「体たらくぶり」「体たらくな○○」といった表現をみかけることがあります。さて、この「体たらく」とはどんな意味でしょうか。 まず「体」は、「1 外から見た物事のありさま。ようす」(goo辞書:デジタル大辞泉)です。「たらく」は、…

消費増税

消費税率引き上げが迫り、「消費増税」という表現がTVや新聞雑誌にあふれています。 校閲してても頻繁にお目にかかるようになり、その都度「消費」と「増税」のあいだに「税?」と疑問出し(明らかな誤りではないが修正したほうがよいのではないかと思われる…

マイナス3億円の赤字

大半の企業や団体で2012年度決算発表が済んだころでしょうか。その際に気をつけたいのが「マイナス3億円の赤字」といった表現です。 ここで数学の初歩。2−1=1、ですね。そして、2−(−1)=3、です。マイナスをマイナスするとプラスになります。 つまり、収…

これに懲りずに

「これに懲りず、またお誘いいただければ幸いです」? それは「懲りる」の使い方がまちがいでしょ、そんな失礼な詫び状じゃ火に油を注ぐでしょ、と思うのは、いまや少数派らしい。 なんたって上の文は日本郵便の「お手紙文例集:お詫び」からである。 いや日…

(ら)れることができる

「実戦でしか感じ得られない」(週刊ベースボール8.27号)――この文の誤りはなんでしょうか。 「得る」には「できる」「可能性がある」の意味もあり、補助動詞的に動詞連用形につく場合はこの意です。また、助動詞「れる/られる」は可能も意味します。 つま…

06年からスタートしている

「ている」(接続助詞「て」+補助動詞「いる」*)は便利なことばです。「進行」「継続」「完了」「状態」「性質」「反復」「経験」などいろいろな意味を表すことができます。 ただし便利なだけに、近年、濫用されるきらいがあります。左記の文の「濫用され…

いちばん最初

前々週が消化不良だったので、重複表現についてもういちど書いておきます。これに伴い前々週の記事は書き直しました。 重言の例として挙がることの多い 古(いにしえ)の昔の武士の侍が、山の中なる山中で、馬から落ちて落馬して、女の婦人に笑われて、赤い…

約2分ほど

「約2分ほど遅れて運行しております」。「約2分遅れて〜」または「2分ほど遅れて〜」よりよほど頻繁に聞くのではないでしょうか。 「およそ1箇月程度」「だいたい1年くらい」など、近年は曖昧表現の重複をよく耳にします。日常会話でつい口にしてしまうだけ…

委員会から推薦された医師から往診された

曖昧表現が多くなっており、その一つである受動態も氾濫しています。「委員会が推薦した医師が往診した」を患者を主体に表現するなら「委員会が推薦した医師に往診してもらった」「委員会が推薦した医師の往診を受けた」が自然ですが、受動態で表すことが増…

よろしくお願いしたいと思います

敬語の乱れとして「千円からお預かりします」「御注文のほうはこれでよろしかったでしょうか」などがよく挙げられます。こうした「敬語」が使われる背景に、摩擦を恐れ曖昧表現を選択することがあるともいわれています。 曖昧表現は、「みたいな」「感じ」と…