許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

遅ばせ

たいへん広く使われすっかり許容されたようでも辞書には採用されていないことばというものがあります。「遅ばせ」もそのひとつでしょう。ふつう「おそばせ」と読みますが「おくばせ」と読む人も少数ながらいるようです。
「遅まきながら」「遅ればせながら」と同様に用いられる「遅ばせながら」の「遅ばせ」は、辞書に載っていません。手元の辞書が古いためweb辞書(goo、Yahoo!、excite、Weblioコトバンク三省堂)にもあたってみましたが、すべてにおいてヒットしませんでした。
正しい「遅ればせ」という形がまだ駆逐されていないとみてよいでしょうか。今のところ校正中にみかけた場合は「れ」を挿入するよう赤字を入れているものの、辞書に「遅ばせ」が採用されたらそうもいかないので、頻繁にweb辞書を確認しなくてはなりませんね。


なお、「おそまき/遅蒔き」は「1 時季におくれて種子をまくこと。2 時機におくれて事をすること。また、その人」(広辞苑第二版補訂版)、「おくればせ/遅(後)れ馳せ」は「1 遅れてかけつけること。2 時機に遅れること。3 他の人より遅れること」(新潮国語辞典新装改訂版)の意です。




附記。とってもいまさらですが、まわりくどい書き方をしたのでわかりにくいかも、と思って。「遅ばせ」は、いまのところ、「正しい日本語」とはいえません。公的な文書で用いるのは避けましょう。