許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

望む/臨む

「海○ノゾむ別荘」 ○に入る助詞と「ノゾむ」の漢字の組合せを答えよ。


このような問題は、アナログ時代には中学生向けでしたが、手書きでなく入力が文章を書く主な手段となった現代では、変換ミスが見逃されたまま出版されてしまうものもみかけます。
「望む」は「1 遠くからながめやる」(広辞苑第二版補訂版)、「臨む」は「1 目の前にする」(同)です。
「海を望む別荘」ならば、海を見渡せる場所(海岸に近い丘の上など)に建つ別荘。
「海に臨む別荘」ならば、海が目の前にある場所(海岸など)に建つ別荘。
意味が異なれば助詞も漢字も使い分ける必要があります。私的なe-mailやblogなら誤変換も許されるかもしれませんが、仕事として書く文章では変換ミスにも注意を払って推敲すべきです。ただし、助詞や漢字に関する感性は一朝一夕には身につかないので、私的な文章でも必ず推敲するくせをつけることをお勧め*します。


*「勧める」=「1 人がその事を行うように誘いかける。勧誘する」(Yahoo!辞書:大辞泉
 「薦める」=「ある人や物をほめて、採用するように説く。推薦する」(同)



今週の元ネタも週ベ(2.20号のスポーツ新聞の記者さんが書いた記事より「厳島神社を臨む」)でしたが、同じ号にMLBライターさんのへぇ〜なコラムも載っていました。ツカミは新聞記事の誤報。記者または編集者が記事を書くとなると、専門家ほどの知識はないので誤った内容を書いてしまうケースも。異動ってものがあるからその道何十年のライターさんに知識で負けることがあるかもしれないけど、それはやっぱマズイよね。
市井の読者に専門家ならではの知識を提供することも雑誌の役割で、編集者は読者の興味をひきそうなネタをもつ寄稿者を集めるのも仕事。そのためにはスペシャリストでなくジェネラリストである必要もあって、なかなか難しいとこですが、記事にする前に裏をとる、て作業を怠らなければかなりのガセ記事が防げるはずです。
で、文章を書いてお金をもらう以上、国語力は大前提であってほしいなぁ。18.44m投げられないプロ野球の投手はいないでしょ。