許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

最古の銀河

webで調べものをしていて、とある民放TV局アナウンサーの7年ほど前のblogがひっかかりました。
モーニングワイドショーの新聞記事を紹介するコーナーで使うのか、最古の銀河発見の記事の話題で、ワイドショーのプロデューサーが「意味がわかんねえよ。埴輪じゃあるまいし」(引用ですが晒す意図はないので出典は記載しません。以下同)と言ったのを聞いたblog筆者のアナウンサー氏が、天文学用語の「光年」は時間でなく距離を表すので「ここで言う『(宇宙)最古の銀河系』という場合の『最古』は『古さ』(=時間)を言っているのではなく、やはり距離を指しているのではないかと。つまり、『一番遠いところにある銀河』」だと結論づけていました。


(観測可能な)いちばん遠いところにある銀河でまちがいはないのですが、(観測可能な)いちばん古い銀河でもあります(そして「銀河系」ではありません。銀河系とはわたしたちのいる銀河のことです)。なぜ最遠=最古かの理由は以下のとおり。
ものを見るとは、ものが発した(または反射した)光を見ることです。光は秒速299,792,458メートル(約三十万キロメートル)というものすごい速さで移動しますが、それでも有限の速度です。そのため、ものの「現在の姿」を見ることはできません。眼の前に立てた指を見るときも、数センチメートルを光が走ってきただけの時間分、過去の指を見ているわけです。
地球の地表で見る月は2秒弱前の月、おなじく太陽は約8分20秒前の太陽です。現在の技術で観測(=見ること)が可能ないちばん遠い銀河は、いちばん長い時間走ってきた光によって見ることができる、つまり、いちばん古い銀河となります。


ここで書きたかったのはアナウンサー氏の誤解そのものではありません。いやしくも報道に携わる者ならば、わからないことは調べるべきではないのか、ということです。
TV局なら百科事典くらいあるでしょうし、7年前ならwebで調べることもできたでしょう。「最古の銀河」で検索すればやさしく解説してくれるサイトもヒットしたと思われます。私人の立場ではなくTV局のサイト内の公式blogにポストする記事なのですから、思いつきを書くのは報道関係者としていかがなものかと考えます。
いやほんと、ライターさんとかも、Wikipediaのコピペで原稿書いてくるなよ〜って人が多くてさぁ……(慨嘆)。