許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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今日から仕事始め

例年1月4日には「仕事始め」に関連するニュースが放送されます。そのなかの近年おきまりの表現に「今日から仕事始めという方も多いのではないでしょうか」があります。
ただ、格助詞「から」は、「〈前略〉2 (時を示す語について)以後。以来〈後略〉」(広辞苑第二版補訂版)の意です。「仕事始め」は「新年になって始〈ママ〉めて仕事をすること〈後略〉」(同)なので、「今日から仕事始め」では意味が通りません。「仕事始め」は「今日」だけのことで、明日以降の仕事は新年になって初めてではないからです。
論理的に正しい表現としては、「今日が仕事始め」または「今日から仕事」でしょう。


超大国の大統領選挙が偽のニュースに影響を受けた、誤った内容のまとめサイトが運営を停止したなど、昨年は、信頼性の低い情報の氾濫に対する懸念がより具体的な問題として顕れました。記事にニュースソースをすべてリンクする試みなど、情報の信頼性を高める努力がなされているものの、情報に全幅の信頼を置ける世界はなかなか到来しないでしょう。
そうした状況ではせめて、情報をまるのみせず、論理的に筋が通っているか考えるくせをつけたいものです。そのためには、助詞のひとつひとつにまで注意を払い意味が通る表現か確認することもよい訓練となります。論理だてて考えることが自然になれば、仕事や家事や勉強も効率的に行え、時間を有効に使えます。論理的思考を敬遠せず、その有用性に目を向けてはいかがでしょうか。