許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

消費増税

消費税率引き上げが迫り、「消費増税」という表現がTVや新聞雑誌にあふれています。
校閲してても頻繁にお目にかかるようになり、その都度「消費」と「増税」のあいだに「税?」と疑問出し(明らかな誤りではないが修正したほうがよいのではないかと思われるものを指摘すること)してはいるんだけども、どうなんだろう、「消費増税」ってもう日本語として許容された段階にあるのかしら。
“消費増税”と“消費税増税”でぐぐってみたら、前者が約2,420,000件、後者が約2,370,000件とのこと(2014年3月30日現在)。Googleの検索精度に難があるうえ、webはコピペの世界なとこがあって同じ文章をたくさん重複して数えてる可能性も大きいから、「ぐぐってx件」てのは論拠にはならないものの、「『消費増税』圧勝」ではなさそうなので、疑問出しは続けよう。


やっぱ、「消費税の増税」の助詞を省略して「消費税増税」はかまわんけど、「税」まで省くのはおかしいと思う。「消費税を増税する」とはいっても「消費を増税する」とはいわないもの。「直行便の増便」だって「直行便増便」であって「直行増便」ではないでしょ、「直行を増便する」じゃわけ解らん。
「消費に対する増税」の略であるといえないこともないかもだが、「に対する」を含む名詞化ならふつう、「対」が入る(対人関係、対テロ作戦、対閃光防禦とかさ)。
「酒税増税」を「酒増税」とはいわないでしょーから、たぶん、「消費税増税」はいいにくく「消費増税」はいいやすい、あるいは「消費税増税」は長すぎる、てだけのことかと。だったら、日本語のプロたるべきアナウンサーや記者が、安易に「税」を省略するのはいかがなものか。



わたしは、ライターの立場では、事実を正確かつ過不足なく表現できる「消費税率引き上げ」を使ってます。たしかに「消費増税」の倍の文字数にはなる。でも、たかだか4文字ですからね。そんなん、ほかでいくらでも削れるのよ。冗長な表現をとっぱらえば、記事中で重要な意味をもつことばを省略する必要はない。
「消費増税」を使いながら「ている」や「となる」なんかを濫用してる文章を見ると、削るとこがちがうやろ、と思っちゃうわけでした。