許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

手軽/手頃

「手軽な夢から、でっかい夢まで。」と書かれたポスターが貼ってあったのは宝くじ売場。そういえば先日「価格がお手軽になりました」という宣伝もみかけました。
どうも昨今、「手軽な」が「手頃な」と混同して用いられているようです。


「手軽」は「手数がかからず、簡単なさま」(Yahoo!辞書:大辞泉)。
「手頃」は「1 大きさ・重さなどが、手に持つのにちょうどよいさま。取り扱いに便利なさま。2 能力・経済力や望む条件などにふさわしいさま」(同)。


ニュアンスの違いは、たとえば「料理」の形容に使うなら、「手軽に作れる料理」と「手頃な値段の料理」といったところです。
「簡易な夢」も「手間がかからない価格」も意味を成しません。前述の宣伝コピーが「身の丈に合った夢/価格」を意図するのであれば、「手頃な夢から」「価格がお手頃になりました」とするのが適切でしょう。
「軽い」のか「いい頃合い」なのか。ことばをきちんと使い分けなければ意図が正しく伝わりません。


意味が異なる似たことばは誤用につながりやすいものです。そして誤用は誤解をまねきかねません。自分が表現したい内容を頭のなかで明確にし、正確にその意味を表すことばを選択することが、誤解を避けるための第一の手段です。