許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

計る/測る/量る

表意文字である漢字には、一見して意味が解るという特長があります。「収める」とあれば漢字から「収拾」「収容」などを連想し、文全体の理解も早くなります。「納める」なら「納付」「納会」、「治める」なら「治安」「治癒」、「修める」なら「修業」「修身」といったぐあいです。
この特長を活かすには、一般的な漢字の使い分けを知っていなければなりません。近年はかな漢字変換ソフトウェアが進歩し、「税金を修める」などの誤った候補を提示することはなくなってきたようですが、まだまだとんちんかんな変換をすることも多いのが実情。変換を確定する前に人間の判断が必要です。



計量や計測の意味の「はかる」には主に「計る」「測る」「量る」があります。
「計る」は、数や時間を数えること。そのほか広く「はかる」の意味で用います。
「測る」は、高さ、長さ、深さ、広さ、速さを測定すること。
「量る」は、重さや嵩(かさ。体積、容積)を計量すること。


上記の「はかる」には計測以外の意味もありますし(「計画する」「予測する」「推量する」など)、「はかる」の同音異義語はこれらだけではありません。主なものは下記のとおり。
「図る」は、くわだてること、くふうすること、とりはからうこと。
「謀る」は、はかりごと(計略)をたくらむこと、あざむくこと。
「諮る」は、相談すること(元々は臣下に意見を求める意なので、目上の人に相談するときには用いません)。



漢字を使い分けるには、漢和辞典等で調べるほか、それぞれの漢字を用いた熟語を考え合わせる方法があります。
「かえる」であれば、たとえば「変化」「交換」「交替」「代用」。「形を変える」など、そのものが変化してしまうなら「変える」。「小切手を現金に換える」など、まったく別のものに交換する場合は「換える」。「服を替える」など、同種の別のものへの交替なら「替える」。「あいさつに代える」など、代用の場合は「代える」。
国語審議会が昭和47年に示した「『異字同訓』の漢字の用法」も参考になります。




漢字の使い分けを、めんどうと思うか、豊かな日本語表現に役立てるかは、人によるでしょう。
それでも、漢字を適切に用いた文章が読解しやすいことは確かです。