許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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逆手(ぎゃくて/さかて)にとる

「相手の攻めを逆手にとって反撃した」――この「逆手」の読み方はなんでしょうか。
昭和51年第一刷発行の『広辞苑第二版補訂版』では「ぎゃくて 1 柔道で、相手の関節を不自然に曲げいためること。ぎゃく。2 相手の攻撃の手段を逆用して、自分の攻め手とすること。「―に取る」〈後略〉/さかて 1 上代の手の拍ち方。〈中略〉凶事に行い、呪詛に用いたものという。〈中略〉2 刃などを逆に持つこと。逆に取ること」となっています。上記の意味では本来は「ぎゃくて」と読んだようです。
ただし昨今では「さかて」と読むのが一般的ではないでしょうか。web辞書でも「さかて」の項に「2 相手の攻撃を利用して、逆にやり返すこと。ぎゃくて」(Yahoo!辞書:大辞泉)とあります。
ここで気をつけたいのが、近年の辞書でも「さかて」「ぎゃくて」どちらの読みも「相手の攻撃の手段を逆用」の意で使えるとしていることです。「さかてにとる」が一般的になったとはいえ「ぎゃくてにとる」も誤りではありません。本来の読み方を意図して「ぎゃくて」と読んだかもしれないので、誤りと指弾するのはやめましょう。