許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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兼ね合わせる

先日、校閲中に「兼ね合わせる」なることばにお目にかかりました。見聞きしたことがなかったので辞書をひいてみましたが「兼ね合わせる」は載っていません。
Googleで検索してみるとかなりの件数がヒットします。どうも、「兼ね備える」(「二つ以上のものを合わせ持っている。兼備する」〈Yahoo!辞書:大辞泉〉)の意味で用いているようです。「兼ね備える」を「兼ね合い」(「つりあい。均衡・バランス」〈Yahoo!辞書:大辞林〉)と混同したのでしょうか。
「かねあわせる」を漢字変換するとあっさり「兼ね合わせる」が表示されるため、すでに「兼ね合わせる」の使用頻度は高いのかもしれません。しかし、辞書に未採用ということは、「兼ね合わせる」を用いない人には意味が解らず、辞書で調べられないので筆者に尋ねるしかないということです。
そのようなことばを使った文章は、意思を伝えるという主要な目的を果たせません。「兼ね備える」というだれにでも通じることばがあるのですから、わざわざ通じるかどうか判らない「兼ね合わせる」を使う必要はなさそうです。