許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

1999年ぶり

先日、ニュースを聞いていたら「1999年ぶり」ということばが耳にとびこんできました。
サッカー女子W杯準決勝でアメリカ合衆国代表が勝ったとの内容だったためすぐに「1999年以来」の誤用だと判ったものの、そういえば、「ぶり」と「以来」の混同にはよくお目にかかります。
AのあとであいだをおいてBが起きたとき、
「○○ぶり」の○○はAとBの間に経過した年月、
「○○以来」の○○はAが起きた年月
を表します。
「1999年ぶり」では、前回米国が決勝進出してから1999年経ったことになってしまいます。1999年ならまだ誤用の判別も容易ですが、「平成11年以来」の意味で「11年ぶり」といっても、聞くほうは「平成12年以来」ととるので意図が伝わりません。
「ことばなんて伝わればいいんだ」といっても、送り手と受け手が語義を共有していなければ意思の疎通はできませんから、やはり意味をしっかり考えてことばを使うべきでしょう。


サッカー女子日本代表のW杯優勝に心よりお祝いを申し上げます。サッカーには詳しくないものの球技ファンとして、ほんとにほんとにほんとに!すごいことなんだろうなというのはおぼろげながら解ります。TV桟敷ではうかがいしれぬ努力があったのでしょうね。なでしこリーグの運営も厳しいと聞きますし、これでスポンサーとかいっぱいついて、世界をめざす女子選手がすこしでも多く競技に専念できるといいなぁ。



附記。
「ワールドカップFIFAワールドカップ」な世間の認識にいらいらさせられてきた私ですが(スキー、スケート、バレーボール、野球〈WBCとは異なる〉、シンクロナイズドスイミング、クリケット……挙げればきりがないほどいろいろな競技でW杯は開催されています)、今回、サッカー女子W杯が日本で大々的に報道されるにあたり、反省いたしました。
自分だってまったく無自覚に「ラグビーW杯」っていってたじゃんねぇ。
フェミニストを自認するくせに情けない。
今後は「ラグビー男子W杯」または「RWC2011(等開催年を明記。男子と女子は開催が1年ずれるので)」と表記することとします。
――リーグのことを考えると「ユニオンラグビー男子W杯」と書かねばならんのかもですが……。セヴンズのW杯もあるけどあと1回だから(祝五輪競技採択)。