許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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疑問をひもとく

「繙く」は、「(古くは書物は巻き物であって、紐で結んであったことから)書物を読む」(新潮国語辞典新装改訂版)です。
語源を知れば誤用の余地がないことばなのですが、いまや帙(「書物のいたみを防ぐために包むおおい」〈同〉。これも紐で閉じてあったため帙の紐を解くことも「繙く」で、こちらを語源とする辞書もあります)で包まれた本などめったにお目にかかりません。そうなると誤用のほうが一般によく用いられるのも無理からぬことでしょうか。
とはいえ「歴史を読み解く」「疑問を解く/解明する」など書き換えができないわけではありません。語源にも関心をもちことばの使い分けにこまやかな神経をめぐらすことは、豊かな日本語表現につながります。


なお、「紐解く」となりますと、「つぼみが開く。花がほころびる」のほか「下紐を解く〈以下略〉」(同)とやや艶っぽい意味もあるので、誤用をするにしてもできればかな書きでお願いしたく(笑)。