許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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大きく二つです

「原因は大きく二つです」。
昨今よく見る/聞く文です。ただしよくみるとおかしいことがわかります。
まず文法の面から考えましょう。主語は「原因は」、述語は「二つです」で、「大きく」は述語を修飾する修飾語です。さらに、「大きく」は、副詞ではなく形容詞の副詞的用法です。
とすると、被修飾語が名詞「二つ」であれば、「大きい」は連体形の「大きい」となるはずです。「大きく」は連用形なので用言が続かなくてはなりません。
しかし「原因は大きい二つです」とはどういう意味でしょう。わざわざ「大きい二つ」と表現するからには小さい原因もあるのでしょうか。その場合は「原因は〜です」と強調の係助詞「は」、断定の助動詞「です」を用いてはおかしいことになります。
「原因は大きく分けて二つです」なら意味が通ります。実際、たいていはその意味で使われています。「分ける」は動詞ですから、連用形「大きく」で文法上も誤っていません。
耳になじんだ表現は無自覚に使ってしまいがちです。きちんと意味を成す文になっているかどうか確認するくせをつけたいものです。