許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

解放感/開放感

現代の日本では、文字は書くものというより、入力し変換するものになってきました。
もちろん、文章は手書きでなければいかん、などといいたいのではありません(もしも「原稿は手書きで提出のこと」と指示されたら、かしこまりましたと受けはしても、正直なところ困ります)。
ただし、かな漢字変換を機械にまかせきりにするわけにはいきません。日本語は同音異義語の使い分けで意味やニュアンスを表現することばだからです。どの漢字を用いるかにより文意が変わってしまうため、漢字の選択はおろそかにできないのです。


「解放感」と「開放感」も使い分けが必要なことばです。
「解放」は「1 解き放つこと。2 束縛を解いて自由にすること」(広辞苑第二版補訂版)。
「開放」は「1 戸などをあけはなすこと。2 制限を解いて、出入りの自由を許すこと。オープン」(同)です。
「解放感」は、解放された感じ、すなわち、束縛を解いて自由にされた感じを意味します。一方「開放感」は、戸などが開け放たれた(*)ようなオープンなイメージを与えるようすを表します。


宿泊施設のパンフレットで用いるなら、
都会の喧噪を離れて解放感に浸る。
窓が大きい開放感あふれるお部屋です。
といったところでしょうか。
解き放たれたのか、開け放たれたのか、意味を考えて使い分けましょう。



*ちなみに、「あけはなす」と「あけはなつ」は同義で、どちらも五段活用動詞です。「あけはなされて」も「あけはなたれて」も誤りではありません。