許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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ぼくはあなごではなくうなぎだ

料理店で連れがあなごを注文したあとに「ぼくはあなごではなくうなぎだ」と店員に伝えたとします。この「ではなく」は、格助詞「で」+係助詞「は」+形容詞「ない」連用形です。
このうち「は」は強調の係助詞で、「あなごでない」ことを強調しています。あなごにアレルギーでもあればべつですが、たんに好みの問題なら、「ぼくはあなごでなくうなぎだ」と格助詞「で」+形容詞「ない」連用形で事は足ります。
近年、「でなく」で十分なときにも「ではなく」を用いる人が多く、なかには「でなく」を誤りと思っているケースもあるようです。
「○○でない」の反対語「○○である」を考えてみましょう。「○○ではある」はふつう反語として使い、基本形は「○○である」です。
「○○ではある」と異なり「○○ではない」はほぼ「○○でない」と同様に使えるものの、とりたてて強調するのがおかしい場合もありますから、基本形はやはり「○○でない」(連用形は「○○でなく」)でしょう。