許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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「マ」ニフェスト

「雨」と「飴」、「花」と「鼻」、「鉢」と「蜂」など、アクセントによって意味が異なる日本語はたくさんあります。英語では、日本語の同音異義語とまではいかないものの、綴りは同じなのに名詞や形容詞と動詞でアクセントが異なる言葉があります。‘import’‘increase’‘present’‘record’‘subject’など、意外に多いのです。
そして英語の「マニフェスト」は、アクセントのみならず綴りも変わります。形容詞・動詞および積荷目録の意の名詞は‘manifest’でアクセントは「マ」ニフェスト、政策などの宣言書の意の名詞は‘manifesto’でアクセントはマニ「フェ」ストウです。つけくわえると、綴りの最後に‘o’が入るので、はっきり「オウ」と母音を発音します。
さて、昨年、複数の有名企業の英語社内公用語化が話題になりました。民間企業の社内事情に関して激しい議論がまきおこった背景の一つには「英語ができない日本人」への憂慮があると思われます。たがいに相手の言葉を話せない状況では英語が使われることが最も多いのが現実ですから、現代のグローバルビジネスにおいて英会話の能力は必須でしょう。日本人どうしの会議も英語で行う是非は措いても、世界の人とのコミュニケーション手段として有用な英語を忌避する理由はみあたりません。
そこで問題なのが「通じる英語」を身につけることです。
リズムの言語である英語ではアクセント(高低アクセントの日本語と異なり強勢アクセント)が重要です。「ホワットタイムイズイットナウ」と平板に発音するより「掘った芋弄るな」のほうが伝わるというように。
日本語化した外来語を用いる際にも、なるべく原語のアクセントに留意することをお勧めします。