許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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有効期間/有効期限

「期間」と「期限」の違いはなんでしょう。
「期間」は「きまった時からきまった時までの間」(新小辞林第二版)。
「期限」は「前もって決めた時期」(同)です。
たとえば、11月1日から1箇月有効の通勤定期券の「有効期間」とは11月1日から11月30日までの30日間を指し、「有効期限」は11月30日を意味します。


このため、「有効期間は11月30日までです」という表現は論理的に正しいのですが、「有効期限は11月30日までです」ではおかしなことになってしまいます。
「まで」は「〈前略〉時間・動作・状態が継続し、次第に到達点に至る意〈後略〉」(新潮国語辞典新装改訂版)です。つまり、有効期間が11月1日から11月30日までの場合、11月1日も15日も、28日、29日、30日のいずれも有効期間中です。このケースで「有効期間は11月30日までです」は、11月中ならばいつでも正しい表現です。
しかし「有効期限は11月30日までです」となると、有効期限が11月1日なのかはたまた29日、30日なのかわかりません。有効期限は11月30日の1日のみなので、「有効期限は11月30日です」としかいえないのです。



グローバル化が進み、また、同じ文化で育った人のなかでも価値観が多様化する現代、誤解の少ない意思疎通のためには、意図は察してくれるだろうと相手に甘えることなく、論理的に書く/話す訓練を積むことの有用性は増すばかりです。