許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

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特例公債法案が成立した

「法案」とは「法律の案文。法律の草案」(新潮国語辞典新装改訂版)であり、「成立」とは「なりたつこと。できあがること〈後略〉」(同)です。ちなみに「草案」は「下書き。草稿」(同)。
こういう法律をつくるべきだと策定した「法案」を発案者が国会に提出して議員が審議し、適宜修正を加え、採決して可決されると「法律」が成立します。
法案ができあがったのは国会提出の前で、議決され成立したものはすでに法案でなく法律です。審議中でまだ「法案」の状態のときには、「法案が可決され法律が成立すれば」では冗長なので「法案が成立すれば」と書いてかまいませんが、法律が成立したことを「法案が成立した」とするのは誤りです。
ただし昨今はこの表現をよくみかけます。たとえば『AERA』No.38では米国の政府債務上限引き上げ「法案が成立した」とありました。『朝日新聞の用語の手引』では「法案が成立した」は誤りと明記しているのですが。
そろそろ成立と報じられる特例公債法、実際に成立したとき、新聞やTVでどう表記されているか確認するのも一興かもしれません。