許容される日本語

日々変化する日本語。すでに許容されたのか、まだ誤用と扱うべきなのか。徒然なるままに考えます。

*当blogより引用する際は出典を明記してください。

○○。(○○

2月の番外篇の続き。その後『ひとりっ子』無事購入しました。うーん、イーガンって、半分も理解できないのになんでこんなにおもしろいんだろうか、ととってもふしぎに思う文系人間(理系のひとはちゃんと理解して楽しめるんだろうなー、うらやましい!)。
それは措いといて。
21世紀にもなって初めて気づきました。
ハヤカワ文庫って、句読点のあとに起し約物が来たとき、二分アキじゃなくて全角アキなのな!
昭和の頃のおそらく活版時代の文庫も見てみたけどおんなじだったので、そーゆーハウスルールなのですね。何十年間気がつかずにいたのか……。実務経験x年の校正者としてはマズイっす。


ごくごくざっくりの解説。
欧文組版では活字の幅は一定ではありません(‘l’と‘w’とか)が、和文組版では原則として活字は正方形です。だから組んだときに縦も横もほぼそろいます(守旧派が見ると実に美しい)。禁則(行頭に「。」は来ない、とか)処理などを除けば1行は活字整数個分の長さになります。
ただし句読点(。、など)や約物の一部(「」()など)は正方形(全角)の半分(二分)です。たとえば「。」のあとや「(」の前に二分の空白(アキ)を入れて半分×2=1字分とし、意味の切れめを明確にしつつ、極力「1行は活字整数個分」を保ちます。
でも「○○。(○○」みたいなときは、「。」のあとと「(」の前に二分アキを2個入れると空きすぎてしまうので、ここは二分アキを1個だけにするのがふつうです(二分アキ1個分はほかで調整します)。
ふつう、なだけで法律で決ってるわけではないので、出版社ごとに独自のルールがあり、早川書房では上記のようなきまりになっているのでしょう。
webではアキ調整ができないのでハヤカワ風のアキになってしまいますが(当blogもそうなっているはず。右の「)、」は本来の組版ルールではアキなしです)、書籍ではいろいろとアキ関連のルールがあるので、気にしてみるとおもしろいかもです。